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企業のための防災対策【3】 事業継続計画(BCP)を策定しよう-その2

2018.2.20

事業継続計画(BCP)の決定

前頁では、事業継続計画(BCP)を策定する上での具体的なステップとして、事業継続方針の確立、復旧優先事業の決定、事業影響度分析(BIA)の実施、リスクアセスメントの実施などについて紹介しました。

本頁でも引き続き、事業継続計画(BCP)の決定について、具体的なステップを紹介していきます。本頁で紹介するのは、以下の項目です。

  • 災害対策本部の役割を確認する
  • BCPの発動基準
  • BCPが発動した場合の社員の行動基準
  • 演習の実施

災害対策本部の役割を確認する

いざ災害が起こった時、災害対策本部のメンバーとして指定されていた社員が、100%本部に集まれるとは限りません。また、災害対策本部要員とはいえ、別に危機対策のエキスパートというわけでもありません。そのとき集まれる人がなんとか集まって、不慣れな事態に必死に対応していくのが災害対策本部です。そうした状況下において、スムーズに事を運ぶためには、予め明確な行動基準が定められていること、そしてその行動基準がシンプルであること、各作業の担当者を決めておくことが必要です。ただし、予め定められた担当にとらわれすぎて、「これは私達に与えられた任務ではありません」と、目の前で起こっている被害を放置するようでは困ります。災害対策本部のメンバーは共通して、被害の最小化という使命を持っていることを認識しておかなくてはなりません。災害が発生した直後から約3日ほどは、災害対策本部はまず、応急的な対応をしなくてはなりません。主に以下のような対応が任務となります。

<二次災害の防止措置>

大きな災害の発生直後、まずしなければならないのが二次災害の防止です。火災が発生したり、救急車の出動要請が必要な場合の通報、負傷者の応急手当、火災の初期消火、社員の速やかな避難、重要な資料の持ち出しといった作業がこれにあたります。また、地震の二次災害というと、津波、火災、地割れ、液状化現象などが考えられます。津波が届くと想定されている地域、または、想定されていない地域であっても避難勧告があった場合は、速やかに高台に非難することが大切です。地震後の火災の主な原因はガスや電気配線の破損だといわれていますが、他にも、地震直後は停電して切れていた暖房器具が、電力復旧後に作動して倒れた家具などに接触して発火するといったケースもあります。

リスクアセスメントの一環として感震ブレーカーや火災報知機を設置しておくと良いでしょう。振動を感知したら自動で電源が切れるストーブなどもあります。また、消火器をすぐ使えるようにしておく、消火器の使い方を把握しておくといったことも重要です。

<社員の安否確認、および指示や配置>

社員の安否、また、社員の家族の安否を確認し、事業継続のために確保できる人員がどれくらいいるのかを把握しなければなりません。そして、それらを把握した上で、自宅待機なのか、出社させるのかなどの指示を出します。

<被害状況の確認>

人的被害の他にも、施設・設備・システム、また、交通インフラやライフライン、社外の取引先などの被害状況を確認し、事業への影響度を把握しなくてはなりません。その上で、中核事業の目標復旧時間の管理を行います。

<緊急対策本部の運営に必要な道具、資源の調達>

災害対策本部には、情報収集を行うためのテレビやラジオ、パソコン、社員の安否確認などを行うための通信手段が不可欠です。また、本部に詰めているメンバーや、就業中に災害が起こって帰宅困難になった社員のための、水や食料も必要です。本部設置後は、まずは本部を運営するための資源を調達しなくてはなりません。

<各方面への被害状況の説明>

ステークホルダーや、官公庁などに被害状況を報告します。

BCPの発動基準

せっかくBCPを策定しても、災害時にそれが発動する基準が不明確だと、脅威にスムーズに対応することができません。BCP発動のリスク、発動が遅れた場合のリスク、両方について考慮しながら、BCPの発動基準を決定する必要があります。BCPの発動基準には、「事業所のある地域で震度5以上の地震が発生した場合」といった原因に由来する基準の他、「出社できる従業員○人以下になった場合」など、事業継続が困難になる事態を基準にする場合もあります。

BCPが発動した場合の社員の行動基準

地震等の広域災害は、いつどんなタイミングで発生するか予測ができません。地震発生直後は電話がつながりにくい状況になることが予想されますし、もし交通インフラが停止していたら出社することさえ困難になります。就業時間外や、社外にいるタイミングでそうした事態に陥った場合、事前に明確な行動基準がなければ、スタッフがスムーズに緊急事態に対応することができません。一般社員、管理職、災害対策本部要員と、それぞれの立場に応じて緊急時の対応を予め決めておく必要があります。対応は主に、「在宅時」「通勤途中」「就業中」「外出中」の4パターンに分かれます。

(例)災害対策本部要員の行動基準

【在宅時】
自分や家族の安全を確保する
予め決められた方法に則って安否報告をする
可能であれば災害対策本部へ集合
【通勤時】
自分の安全を確保
安否報告 可能であれば出社し、災害対策本部へ集合
【就業中】
自分の安全を確保
二次災害の防止措置
安否報告
災害対策本部へ集合
【外出中】
自分の安全を確保
安否報告
可能であれば出社し、災害対策本部へ集合

(例)管理職の行動基準

【在宅時】
自分と家族の安全を確保
安否報告
指示があるまで自宅待機
管理下の社員の安否を確認し、災害対策本部へ連絡
【通勤時】
自分の安全を確保
安否報告
原則として帰宅。
帰宅困難な場合は最寄りの事業所に避難
【就業中】
自分の安全を確保
二次災害の防止措置
安否報告
管理下の社員の安否を確認し、災害対策本部へ連絡
災害対策本部の指示に従う
【外出中】
自分の安全を確保
安否報告
原則として帰社。外出先が自宅近くであるなど、一定条件を満たす場合は帰宅 帰社後は災害対策本部の指示に従う

(例)一般社員の行動基準

【在宅時】
自分と家族の安全を確保
安否報告
指示があるまで自宅待機
【通勤時】
自分の安全を確保
安否報告
原則として帰宅。帰宅困難な場合は最寄りの事業所に避難
【就業中】
自分の安全を確保
二次災害の防止措置
安否報告
災害対策本部の指示に従う
【外出中】
自分の安全を確保
安否報告
原則として帰社。外出先が自宅近くであるなど、一定条件を満たす場合は帰宅 帰社後は災害対策本部の指示に従う

演習の実施

策定した事業継続計画(BCP)の実効性を確保するためには、定期的に演習を行い、計画そのものを評価する必要性があります。また、定期的に演習を行うことで、社員全員が事業継続計画(BCP)に対する理解を深め、事業継続計画(BCP)を社内に定着させることもできます。 演習の実施方法としては、以下のような方法があります。

演習の実施方法

机上でのチェック・評論

事業継続計画(BCP)の内容について、机上でレビューを行い、内容の有効性について検証します。すぐにでも実施可能で、必要な要員も最小で済む方法です。ただし、計画に抜けが無いか、社員たちが適切に動くことができるかなどを確認するには至りません。

ロールプレイング

事業継続計画(BCP)が発動した状況を、ロールプレイングする方法です。実施の途中で新たな状況を付与するなど、より実践的に実施することで、社員の非常時における判断が適切かどうか検証することができ、訓練にもなります。ただし、必要な参加人数は多く、複数のシナリオを用意するなど、実施にはそれなりの労力が必要です。

実働演習

代替システムへの切り替えテストや、怪我人の救助や応急処置、火災の初期消火などの演習、避難訓練、災害対策本部設置の流れを実際に試してみるなど、実践的な訓練をする方法です。ある程度の準備期間や代替施設が必要であり、所要時間が最も多く掛かる方法ですが、当然のことながら、いざという時に最も実効性が高いものは、この実働演習です。

演習の評価、および改善

事業継続計画(BCP)の演習は、一度やればそれOKというものではありません。事業の成長に合わせて定期的に見直しや修正が必要ですし、演習の結果を加味した修正も必要です。策定した計画が形骸化しないよう、継続的な演習の実施とレビュー、修正を行いましょう。

いかがでしたでしょうか。企業の防災対策シリーズ【1】~【3】では、事業継続計画(BCP)導入の主なステップについてご紹介しました。次頁では、「津波が何センチの高さで人は歩行できなくなるか」、「放射能などの見えない恐怖に対応するための正しい知識」、「社員の救命救急講習受講の必要性」など、平素の社員教育で広めておくべき知識についてご紹介します。